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2016年12月17日 (土)

大椴地区を訪問して(5)

大椴子団体の団結移住者規約

 団結移住者規約

 移住ノ目的
第1条 北海道ノ規定セラレタル団結移住ノ要領ニ準拠シ茲ニ石川県石川郡能美郡ノ住民ニシテ従来農業ニ従事スルモノ35戸ヲ以テ団体ヲ組織シ、北海道ニ移住シテ、専ラ農業ニ従事シ自作農タルヲ以テ目的トス。
移住地ハ北海道天塩国留萌郡留萌村字大トドコ原野ニシテ、即チ貸下出願地積54万坪トス。
移住者ハ皆北海道ニ永住スルノ目的ナルヲ以テ移住ノ際ハ貸付予定地内ニ転籍スルモノトス。

第2条 此移住団体ハ桑原権兵衛以下34名ヨリ成立スルモントス。
但移住者ノ内疾病其他
避クヘカラサル支障ノ為、欠員ヲ生シタルトキハ本人若シクハ親戚ニ於テ適当ノ証明ヲ得テ移住セシムヘシ。

 移住者戸数ノ配当
第3条  明治31年ニ於テ貸付予定地ニ総数35戸移住スルモノトス。
     但シ移住者貸付予定地内ニ移住シタルトキハ、其年内ニ於テ総代人ヨリ地元戸長役場ヲ経テ北海道庁ニ届出ヘシ。

 自作小作ノ区別
第4条  此団体ハ各自同一権義ヲ有スル自作農ニシテ土地貸付期限中ハ、小作ヲ為サシメサルモノトス。

 勤倹貯蓄
第5条  移住者ハ勤倹ヲ旨トシ、決シテ著侈ニ渉ルコトヲ為サス。移住ノ翌年ヨリ協議ノ上応分ノ金品ヲ貯蓄シ、一村基本財産ノ基本トナシ凶荒又ハ公共ノ用ニ供ス。
但し貯蓄ノ金品ハ協議ノ上、最確実ナル方法ヲ設け総代人ヲシテ之ヲ保管セシム。

 習俗習慣
第6条   習慣ノ善良ナルモノハ之ヲ保守シ否サルモノハ之ヲ矯正スルコトニ務ムヘシ。殊ニ左ノ各項ヲ遵守スルモノトス。

一、 常ニ親睦ヲ旨トシ苟モ喧嘩口論スヘカラス。
二、 金銭物品ヲ賭シ博奕ヲ為スヘカラス。
三、 祝祭弔慰ノ外隈リニ集会シテ酒宴ヲ開クヘカラス。
四、 冠婚葬祭ハ其分ニ越ユルヘカラス。
五、 忠君愛国ノ気風ヲ養成スヘシ。

 相互救護
第7条     移住者中疾病ニ罹リ若シクハ不時ノ災害ヲ被リタルトキハ相互ニ救護ヲ   
        為スハ勿論万一ノ為メ開墾ノ進捗ヲ妨ケ起業方法書ノ如ク土地ヲ成功セサルノ慮アルトキハ相協力シテ予期ノ功程ヲ拳ヲシムルモノトス。

 移住旅費支弁方法
第8条     移住旅費ハ各自の負担トス。
        但シ時宣ニ依リ団結同盟者ニ於テ8分ノ1ヲ補助スルコトアルヘシ。

        移住後家作器具糧食等諸費用支弁ノ方法
第9条     移住後家作器具糧食等各自ニ必要ノモノハ各自ノ負担トス。

 移住総代人ニ関スル規定
第10条    便宜上団体中ヨリ、桑原権兵衛、吉田佐吉2人を以テ総代トシ左ノ事項ヲ取扱ハシム。
1. 土地貸付付与、其他ニ関シ官庁ヘ諸願届ニ関スル件。
2. 公達命令等伝達ノ件
3. 開墾上管理ノ件
4. 貯蓄ノ金品保管ノ件
5. 規約違戻者処分執行ノ件

 規約違戻者処分事項
第11条   本規約ニ違背シ若クハ左記ノ1、2ニ該当スル者アルトキハ衆議ノ総代人ヨリ一応説諭ヲ加ヘ尚改メサルトキハ、軽キハ、5円乃至10円ノ違約金ヲ徴シ、重キハ本団体ヨリ除名ス。
1. 故ナク開墾ニ従事セサル者
2. 故ナク他ニ転居スル者
3. 農期間他人ヲ誘導シ出稼ヲ為ス者
4. 相互救護ノ義務ヲ果ササル者
5. 本団体ノ面目ヲ汚スヘキ所為アル者

 雑則
第12条   違約徴収金ハ他ノ貯金ト共ニ保管し団体ノ公共事業ニ費消スルモノトス。
第13条   除名者ノ貯蓄シタル金品ハ之ヲ返付セサルモノトス。
第14条   他日移住者中ニ於テ本規約ノ改正ヲ必要トスル場合アルトキハ団体全戸数三分二以上ノ同意ヲ以テ改正スルコトヲ得。
       此場合ニ於テハ当初本規約ノ証明ヲ得タル県庁及北海道庁ノ承認ヲ得ルニアラザレバ実施セザルモノトス。

       但シ移住後ニ於テ改正スルトキハ北海道庁ノミノ承認ヲ受ケルモノトス。
第15条   団体者各自本規約ヲ是認シ且、之ヲ履行スルコトヲ誓ヒ茲ニ記名押印スルモノナリ。

       明治30年9月14日

石川県石川郡吉野谷村  桑原権兵衛 ㊞
〃    〃    吉田佐吉
〃    〃    山崎佐治右衛門 
〃    〃    山本半右衛門
〃      〃    森田新助
〃    〃    吉田与三兵衛
〃    〃    河端清松
〃    〃    田端弥右衛門
〃    〃    森田新八
〃    〃    吉村亀吉
〃    〃    林 仁太郎
〃    〃    桑原惣左衛門
〃    〃    柴山清作
〃    〃    吉本次郎長
〃    〃    林 七六
〃    〃    小林忠兵衛
〃    〃    中川藤右衛門
〃    〃    清水六次郎
〃    〃    北出彦右衛門
〃    〃    柴山与左衛門
石川県能美郡広瀬村   空橋吉兵衛
〃   河野村   谷口三郎
〃    〃    東 市松
〃    〃    北島市太郎
〃    〃    林 石松
〃    〃    松本惣吉
〃    〃    三口九平
〃    〃    岩上石松
〃    〃    橋 与三郎
〃    〃    村井善次郎
〃   河内村   朝日市松
〃    〃    高桑磯助
〃    〃    山田市太郎
〃    〃    岩下甚作
〃    〃    岩崎権兵衛
石川県能美郡河内村 吉田与市

本文取調候処相違ノ義無之此段証明候也
明治30年10月23日
石川県知事 古 沢  滋
(『小平町史資料』第一編所葺)

大椴子団体の団体移住民人名変更願
団体移住民人名変更願
石川県石川郡吉野谷字吉野
退団者名 山崎佐治右衛門
       山本半右衛門
       森田新八
       岩崎権兵衛
       清水六次郎
       田端孫右衛門
       山田市太郎
       吉村亀吉
       林 七六
       合10名

加入者名
石川県石川郡吉野谷村字吉野    小笹市松
         〃     〃      石田権次郎
         〃     〃      小笹小三郎
         〃     〃      岩倉石次郎
石川県能美郡河野村字三坂     谷口三松
         〃     〃      中出権六
石川県中海村字嵐           谷 善右衛門
石川県粟津村              朝日市松

 右ハ明治30年9月桑原権兵衛外34名北海道天塩国留萌郡天登雁村字トドコ原野ヘ移住ニ付御証明願置候処前記山崎佐治右衛門外10名ノ者家事上ノ都合ニ依リ渡海不能候ニ付、更ニ前顕、小笹市松外7名ノ者団結移住民中ヘ加入致度候最モ該規遵守可仕候間団結移住民人名変更ノ義御証明成下度此段奉願候也

                      明治31年6月23日
                団結総代人  桑原 権兵衛
                秋田県北秋田郡扇田町四百四十番地
                当時北海道天塩国苫前郡羽幌村寄留
                         右代人    小村 乙吉
石川県知事  古沢滋殿
本文取調候処相違之廉無之仍テ証明ス
明治31年7月6日
石川県知事  古沢 滋
(『小平町史資料』第1篇所収)

6月に団体移住者の人名変更願を県庁経由で道庁に提出し、あらたに加入した8戸の入植が完了するまで貸付地予定存置の要件である移住期間を1か月7月末とするよう願いでた。

 移住予定存置地延期願
 天塩国留萌郡天登雁村トドコ原野桑原権兵衛外34名氏名確定移住予定存置ノ件、明治30年11月21日庁天第4354号ヲ以テ御許可相成候処、予定存置期限ハ本年6月30日迄ニ付当日迄移住22戸残リ13戸ニ対シ先般来招迎ノ為メ石川県ニ出張中ニ御座候間、来ル7月30日ヲ限リ移住相成度何卒特別ヲ以テ予定存置地ニ付期日迄御延期御(許)被成下度此段願ヒ候也
 
               石川県石川郡吉野谷村
               当時北海道留萌郡天登雁村トドコ7号線39番地
               移住総代   桑原 権兵衛
明治31年6月30日
  北海道庁長男爵    安場 保和殿
(『小平町史資料』第1篇所収)

北海道庁の大椴子団体移住者臨検調書
第7号  臨検調書
 石川県石川郡吉野谷村
 桑原 権兵衛
 外34名

 明治30年11月21日天塩国留萌郡天登雁村字トドコ原野及同国苫前郡羽幌村字築別原野ニ於テ桑原権兵衛外34名ハ、予定存地シタル未開地54万3028坪ニ対シ明治31年8月15日及同月22日団体総代桑原権兵衛ヲ立会セシメ検査ヲ遂ゲタルニ左ノゴトシ

一、明治30年11月21日北海道庁指令第4354号3項、明治31年6月30日迄ニ移住シ了ルベキ戸数、35戸ナルニ数真は充タズシテ本年4月25日18戸ノミノ移住ナルヲ以テ、該命令ニ違反セリ。

一、移住者ニ要スベキ区域及坪数ハ、天塩国苫前郡羽幌村字築別原野南5線27番、1万5000坪、同国留萌郡天登雁村字トドコ原野基線7番9番19番20番ニ18番30番31番21番12番22番24番26番37番32番45番46番47番48番27番29番6番8番10番43番42番44番25番39番35番北1線44番、坪数ハ21万9308坪ナリ。

一、移住者中、氏名確定以外ノモノニシテ現今開墾着手中ノモノ築別原野ニ於テハ岩上吉次、松井宗衛、小林乙吉、トドコ原野ニ於テハ朝日又三郎、空橋八三郎、三口助佐、吉本駒平」ナリ。

一、移住者予定ノ如ク移住シ能ハザル原因ハ本年諸物価昇騰ニ連レテ移住者生国ニ於テ所有スル動産又ハ不動産ニ変動ヲ生シ、為ニ移住ヲ計画シテ而シテ所有財産整理上ニ影響ヲ来シ結果遂ニ移住スベキ、期限ヲ愆マリタルモノナリ。
一、現今開墾坪数ハ凡、10万坪ナリ。

 前記ノ通リ相違無之ニ付此ノ調書ヲ作リ立会人ニ読聞セシ処相違違ナキ旨申出タルニ付共ニ署名捺印スルモノナリ。
  明治31年8月22日
北海道増毛支庁出張員
属    今井 龍三郎
事業主  清水 正雄
立会人団体総代
     桑原 権兵衛
此書面ハ出張先ニ於テ作リタルモノニ付官署ノ印ヲ押添スルコト能ハス。

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